アルピーヌF1からフェルナンド・アロンソがアストンマーチンに移籍することが決まり、アルピーヌはすぐにリザーブドライバーのオスカー・ピアストリを2023年のレギュラードライバーとして発表した。ここまでは既定路線で誰もが予想しており、驚くことではなかった。
しかし、誰もが驚く珍事件がこの後に起きた。通常ならF1に昇格して超うれしいはずの発表なのに、ピアストリ本人が「間違っている」とコメントをしたのだ。
I understand that, without my agreement, Alpine F1 have put out a press release late this afternoon that I am driving for them next year. This is wrong and I have not signed a contract with Alpine for 2023. I will not be driving for Alpine next year.
— Oscar Piastri (@OscarPiastri) August 2, 2022
「私の同意なしに、アルピーヌF1が2023年にアルピーヌでドライブするというプレスリリースを出したことを理解しています。これは間違いで、私は 2023 年のアルピーヌとの契約に署名していません。来年このチームで運転することはありません。」
署名もしていないのに発表なんかするものなのか。それも不思議な行為である。
このようなことになったのは様々な説がある。一つ目はウイリアムズ、事実、シート合わせが終わっていて、契約もしたという報道である。
もう一つはマクラーレンと契約を結んだ説である。成績不振のダニエル・リカルド。本人は2023年まで契約があり、チームもマクラーレンに残ると発表しているものの、マクラーレンからリカルドに大金を払って放出し、ピアストリにシートを与えようという考えが噂されている。リカルドと同じオーストラリア人ドライバーのマーク・ウェーバーがピアストリのマネージャーで、マクラーレンとの契約に動いていた。
しかし、ピアストリはアルピーヌのリザーブドライバーなのに、なぜ?となる。アルピーヌ代表はピアストリとの契約は「2023年末まで、オプションで2024年も」と明らかにしている。しかし、ピアストリは「今年の7月31日までの契約」と話している。ピアストリ側からすると、8月でフリーエイジェントになったため、マクラーレンと契約を結んだとされている。また、アロンソがアルピーヌが好調なのもあり、契約を更新すると考えられていて、7月31日までにピアストリにシートは用意できていなかった。アストンマーチンに移籍を発表したのは8月1日。しかも「チームも知らずにアストンマーチンのプレスリリースで知った」と言っているほどだ。ピアストリも当然知るわけがない。
もちろんピアストリも契約期間中に、他チームとの重複契約はできないはず。となると両者の主張する契約期限の解釈に相違があるようだ。ただ、2021年にリザーブドライバーを務めた、ダニエル・クビアトの後任として契約しており、もし、ピアストリが言うように2022年の7月末を持って契約が終わるなら、リザーブの契約がたった半年のみということになる。それは不自然な期間であり、アルピーヌ側が主張する契約期間の方が自然であるうえ、チームはシートを買い取ってまで2023年にデビューさせたいと幾度となくメディアに話しているのに、半年後には契約が切れているとは考えにくい。
尚、アルピーヌ代表のオツマー・サフナウアーは「我々がしらないことろで、彼がマクラーレンと何かをしているのかは知らない」と話しており、契約中なのにマクラーレンと契約をしているとは思わないでしょうし、報告を受ける必要もない。
もし、契約が切れていても、F1ドライバーとしてデビューできるなら、嬉しい。なのに、「このチームで走らない」とお断りしてしまうということは、アルピーヌよりも強力なチームと約束されたシートがあるとしか考えられず、シートの空き状況や、マクラーレンとリカルドにまつわる噂、ウェーバーの話などを考慮すると、2023年にマクラーレンからデビューするという筋書きがあるのではないかと考えられる。いずれにしても、アルピーヌは「我々のチームで走る義務がある」と主張しているが、こんな仲になって、チーム内での空気はまずくないのか。裁判になりそうな展開でもあるが、妥協点としては、リカルドとピアストリのスワイプで、リカルドが古巣のアルピーヌに戻るというのなら、悪くはない取引となるのだろう。
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一方で、ウイリアムズが近々発表があるということで、ファンが「ピアストリの発表か?」とやきもきと推測していたが、アレクサンダー・アルボンの複数年契約の更新であり、前々からシートを失う噂が流れているニコラス・ラティフィの後釜になるという発表ではなかった。また、新たな情報によると、ピアストリはウイリアムズで走りたくなく、アルピーヌの契約下でレンタルされるぐらいなら、マクラーレンに行きたいと思ったと報道されている。そのため、ウイリアムズ説はほぼ消えたといってよいみたいだ。
それにしても、アルピーヌはマネージメントがうまく行っていないように感じる。アロンソからも事前報告なし、ピアストリからも「走らない」とそっぽ向かれる。リカルドが移籍を決めたのも1年での決断であった。ドライバーとの関係性がうまくいかなないような体制なのは想像できる。
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