ベテランF1ドライバーのフェルナンド・アロンソはチームの移籍に関してもプロフェッショナル。いや、それともアルピーヌが世界最高峰のスポーツの中では珍しくアマチュアなのか。アストンマーチンの戦略は抜群で、マクラーレンの人材略奪は強力であった。
アルピーヌのチームボスであるオツマー・サフナウアーは、フェルナンドの2023年の契約延長の合意について「夏が終わったら」と話していて、フェルナンド自身も、ハンガリーでの記者会見で「私たちはますます競争力を高めており、おそらく私の願いはとどまることです。」と語っていました。簡単に契約延長に至りそうな雰囲気は見せていたものの「ちょっとしたこと」が問題となって、7月末に期日を迎えるオプション(2023年の契約)の行使期間内に合意に至っていませんでした。
世界チャンピオンであるセバスチャン・ベッテルが引退しようとしていることを知っていたアストンの経営陣は、後任を確保するまで引退発表の延期を要請しました。アストンはハンガリーGPの数週間前にアロンソと契約を交渉していました。ハンガリーGPの直前でセブが引退を発表し、間もないアロンソの発表だったことからもわかるように、アストンはベッテルが引退を発表する前には既にアロンソと契約を結んでいました。アロンソの移籍の発表は、アルピーヌとのオプションの期限が切れてから数時間後のことでした。
F1での長期的な将来が欲しかったアロンソは、アルピーヌが契約を延長するオプションを取らなかった場合に備えていました。アルピーヌはアロンソが残るものと思っていました。「もちろん、パドックにいるときはあらゆる種類の噂が飛び交っているし、アストンが興味を持っているという噂は聞いていた。」と認めるもののアストンに行くということはグリッドの下に後退するということ。それを選ぶとは予想していなかったのでしょう。逆にアストンは見事に作戦に成功した訳です。 お名前.com
アロンソの復讐は明らかでした。アルピーヌの自己満足と彼へのサポート不足に不満を持っていました。彼はアルピーヌに去ることを伝えないことで、彼の意思を示したのです。
サフナウアーはアロンソの移籍をプレスリリースで知り驚き「彼は船に乗っているからだと思いますが、彼と話しができていません。ギリシャの島々のどこかにいると思います。」とコメントをしましたが、この声明の直後にSNSで、ギリシャではなく故郷のオビエドにいて「携帯電話の信号は問題ないことを確認できる」と皮肉な投稿しました。
その後、アルピーヌはパニックに陥り、サフナウアーはオスカー・ピアストリのマネージャーであるマーク・ウェバーに電話をしましたが、24時間電話しても出ないことを明らかにしました。ウェバーは現在オーストラリアにいて、時差も距離もありますが、それが理由で現代のコミュニケーションツールで24時間連絡がとれないことはありません。
ウェーバーと連絡がつかないまま、チームは多くの時間とお金を投資していたオスカー・ピアストリを2023年のドライバーとしてを発表し、本人から「同意してない」と反論されたのです。
アロンソの復讐劇の1つにピアストリとアルピーヌのオプションが自身と同時に期限切れになることを知っていたかどうかが囁かれており、それまでアストンの移籍を遅らせることで、チームがピアストリとの契約も不成立にさせることを計算していたのではないかということです。アルピーヌはこの1日で2人のドライバーを失いました。
マクラーレンのCEOザク・ブラウンはその他のカテゴリーで競うマクラーレン・モータースポーツ・チームでドライバーと契約するという任務を負っています。最近、マクラーレンは2021年のインディカー チャンピオンの勝者であるアレックス・パロウと契約しましたが、パロウがレースをしているチップ・ガナッシは、アルピーヌ状態に陥り泥沼化。ある評論家は「もしあなたがレース チームを所有していて、マクラーレンのザク・ブラウンがあなたのドライバーと話しているのを見たら、接近禁止命令を出したほうがいい」とコメントしました。
マクラーレンはダニエル・リカルドに対して、チームを去らなければ受け取れていたはずの2023年の報酬を支払わなければならないと見られていますが、彼の「期待外れのパフォーマンス」を理由にどう交渉してくるかです。
アロンソはマクラーレンを辞め、F1を引退した理由はマクラーレンからの支払いの返済を逃れる為でした。もし別のF1チームに参加する場合、支払いを返還しなければならないという条件で、残りの契約期間の報酬が支払われていたのです。それに応じてアロンソは、この条項が切れるまでの2年間、WECスポーツカーとインディカーでレースをし、F1に復活するという素晴らしい戦略を成し遂げたのです。
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— Fernando Alonso (@alo_oficial) July 8, 2020
(参考:TJ13)
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